IZAの思い出2 | |||||||||||
朝からの雨は北へ向かう2時間の間やむそぶりを見せつつも、思い出したように雨脚を強めては車窓に松の葉のような模様を描いていた。小さな駅に降り立つ人は数えるほどだ。 憂鬱な花散らしの雨の中を進んでいく自転車、予定より早い時間についてしまった。 誰もいない桜の樹のしたで、立ち止まってみるとやせっぽちの枝垂桜が佇んでいた。 もう私も見ることのない遠い将来、見事な樹となって人々を見下ろしているだろうか。 夜が明けても重い雲が空を覆い、今日もまた陰気な春の一日なのだろうか、窓辺で見上げていた。 思わせぶりな小さな晴れ間がやがて強い風で押し広げられ青空が現れたのは昼過ぎだっただろうか。 突然の春雷までも加わり目まぐるしい春の一日、桜吹雪の向うで宴の響きがかすかに聞こえた。 急ぎ足で今年の桜を目に焼き付け、母が待つ家へと踵を返した。 #
by mari_tensinonamid
| 2014-04-04 22:24
| 植物
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by mari_tensinonamid
| 2014-02-15 21:35
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by mari_tensinonamid
| 2014-01-01 11:13
| 植物
11月も終わろうというある日、小春日和という言葉がぴったりな暖かな日差しの下で樹々は色づき人々を楽しませていた。昼下がりのオフィス街、あまり楽しいとは言えない目的で都内へ出向いた私でさえ、ビルの谷間でのささやかな紅葉狩りで気持ちは少し上向いていた。
季節は確実に冬を迎えつつあるというのに暖かな原色の輝き。 季節は目をつぶっていても過ぎていってしまう。都会ではいつの間にか季節が通り過ぎていく。春は桜が咲き、夏になればどこかでひまわりが咲き…、数えきれないほどのすべてのものが一瞬一瞬変化し続けていく。それを見ることなく一年が過ぎていってしまう。 約束の時間がせまり、ビルの14階で気詰まりな時間を過ごす中、窓の外を眺めればさっきまで散策していたその場所が箱庭のようにそこに見えていた。やがてこの風景を思い出すとき、私はこの時感じていたもやもやした気持ちもまた同時に思い出すだろう。 #
by mari_tensinonamid
| 2013-12-02 12:01
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