IZAの思い出2 | |||||
朝からの雨は北へ向かう2時間の間やむそぶりを見せつつも、思い出したように雨脚を強めては車窓に松の葉のような模様を描いていた。小さな駅に降り立つ人は数えるほどだ。 憂鬱な花散らしの雨の中を進んでいく自転車、予定より早い時間についてしまった。 誰もいない桜の樹のしたで、立ち止まってみるとやせっぽちの枝垂桜が佇んでいた。 もう私も見ることのない遠い将来、見事な樹となって人々を見下ろしているだろうか。 夜が明けても重い雲が空を覆い、今日もまた陰気な春の一日なのだろうか、窓辺で見上げていた。 思わせぶりな小さな晴れ間がやがて強い風で押し広げられ青空が現れたのは昼過ぎだっただろうか。 突然の春雷までも加わり目まぐるしい春の一日、桜吹雪の向うで宴の響きがかすかに聞こえた。 急ぎ足で今年の桜を目に焼き付け、母が待つ家へと踵を返した。
by mari_tensinonamid
| 2014-04-04 22:24
| 植物
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